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辻内研究室
(ヘルスプロモーション・医療人類学)

#地球人!自由人! The people for the Earth, for the Freedom

辻内研究室では医療人類学、心身医学および歴史的見地から震災、原発事故被災者支援を目的にフィールドワークや支援活動、調査研究を行っています。

研究内容について

所祭委員: 辻内ゼミのテーマや研究の目標などありましたら教えてください。

ゼミ生: 2011年に東日本大震災での福島原発事故があったじゃないですか。それで被災者に対する心理的・社会的アプローチの支援を研究するゼミとなっております。

辻内先生: うちのゼミのモットーは「地球人!自由人!」です。これはゼミの開設以来ずっと目指している究極のテーマです。ゼミ生はこれをどのように捉えていますか。

ゼミ生: 地球には多種多様な人がいて、異なる個性を持っていると思うんですけど、これらを互いに尊重しようという意味だと感じています。

辻内先生: その通りです。「地球人」に込められているのは誰とでも仲良くなろうという意味も込められていますし、民族、文化、障害から身近なちょっと変わった人まで同じ地球人だっていう意味もあります。 それから、地球レベルで物事を考えていけるようになっていきたいなっていうのがあるんですね。広く言えば環境問題もそうですし、政治的対立、紛争といった構造的暴力も含みます。 研究でも使うんですけど、「構造的暴力」は社会や政治のシステムに埋め込まれてしまった世界中に蔓延っている暴力的な問題のことです。例えば、貧困もそうです。富裕層はどんどん豊かに、貧しい人はどんどん貧困に。これは社会システムの問題じゃないですか。 一見良く聞こえるシステムでも裏があることに気づいていく。それが今、我々が取り組んでいることです。原発事故の被災者は、東日本大震災の津波だけの被害者と違ってトリプル・ディザスターという地震、原発事故、津波の被害を受けた方々なんです。 彼らは本当に生活に困窮しています。最初は賠償金をもらっていたけれど、それも全員打ち切りなんですよ。放射性物質は、福島県だけに降ったわけではなく、東京や埼玉にまで降っています。所沢のとなりの狭山茶も出荷停止になったことを知っていますか。 このように、政府が避難指示を出したエリアは、福島県内のごく一部の地域だけです。それ以外の地域から避難した人たちは「勝手に避難した人=自主避難者」と言われて、賠償金をもらえなかった多くの被害者もいます。 さらに避難先で、福島の人だからと非難されたり差別を受けたりと。子どもから大人まで全部です。そういうような事が起きているのは、実は地球で起きている様々な現象、災害や紛争による移民や難民の問題などと共通しているんですよ。 だから地球レベルで物事を考えるようにしていきたいなって思っています。

所祭委員: 問題の大小に関わらず、似たような構造で起きている問題は多くあるんですね。

辻内先生: そうなんです。原発が大量の環境汚染を起こしたわけですから、原発に頼る社会は絶対に無くしていかなくてはならないのは当たり前のことなんだけど、じゃあ「再生可能エネルギー」はどうなのか。 再生可能エネルギーって、一見良さそうに聞こえるじゃないですか。政治でもこれを美しそうに掲げている人がいたりしますよね。実は再生可能エネルギーにもとっても大きな問題があって。 例えば、地上に作っている風力発電だと耳に聞こえないゴオォォォっていう振動や低周波が鳴っていて、周囲に住む人が体調を壊して裁判まで起きています。じゃあ洋上風力発電にしたら良いのかというとそうではなく、近くの漁業環境に影響を与える可能性があります。 しかし風力発電を作っている人は、魚がいなくなるどころか寄ってきますよ、と主張していて、実際に研究者が調べても社会から隠蔽されてしまうこともしばしばあるんです。 じゃあ、太陽光パネルは環境にいいと思いますか?

所祭委員: そうですね、風力や原子力に比べて家庭にも普及していて良い印象を抱いています。

辻内先生: そうですよね。熱効率もどんどん良くなってきていて、一見太陽光パネルを増やそうという活動は良さそうなんですよ。でも実は古い太陽光パネルにはすごく希少なメタルが入っていて消去するのに大変な費用がかかるんです。 なので、過去に大量に作ったパネルを回収して再生させる作業が出来ていないんですね。使い捨てのようにパネルが山奥に放置されていたりするんですよ。40〜50年前に地球に優しく石油に代わる素晴らしいエネルギーだと原子力発電が宣伝されたのと同じことが再生エネルギーでも起きていることに気づかないといけないんです。 他にも、電気自動車が増えてきたり、ハイブリット車の方がエコだと宣伝されているのをよく見かけますよね。これからどのくらい電気自動車が増えていくと思いますか?

所祭委員: ある程度までは電気自動車が普及するのかなと思います。でも、レトロなものを好む人など一定数の人は電気に手を出さない人もいるのではないかと感じます。

辻内先生: ゼミ生はどう思いますか?

ゼミ生: 社会全体として見たとき、自動車が電気化するとガソリンスタンドの必要性がなくなることから雇用が無くなるのではないかと思います。

辻内先生: そうですね。雇用の問題に着目するのは、とても大事です。日本の企業はトヨタをトップとしたピラミッド構造になっています。下請けの下請け…といった形で、ネジひとつを作るのにも多くの工場や企業が関わってきます。それら全ての企業はガソリン車を作るために50年間かけて作り上げてきた社会構造で成り立っているんですよ。 だから、もし5年後に全て電気自動車に変えますって言われたら大量の失業者が出てきます。日本の経済は一気にガクッと落ちてしまいます。なので、それを分かった上でトヨタは「ハイブリット」、つまりガソリン車でもあり電気自動車でもある車を売り出しているわけです。 ところが、ヨーロッパやアメリカではハイブリット車もガソリン車だとみなして、2030年以降は売り出してはいけないという方針を出している国がいくつもあります。そうすると、電気自動車のみOKという社会を作ってしまうと、日本の産業が崩れてしまう可能性がありますよね。 もうひとつ、私は医者でもあるので化学物質や電磁波過敏症などの健康問題についての研究も30年くらい前からやっていたんです。実は、スマホやパソコンなどの電磁波による影響を人間はものすごく受けています。 例えば、寝るときに頭の横にスマホを置いていると脳にかなりダメージが来るんですよ。機内モードにしておけば大丈夫なんですけど、置いとくだけだと頻繁に通信しているので影響を受けます。他にも電話をする際は耳に当てるよりもイヤフォンを介してする方が影響は少なくなります。 ハイブリット自動車も同様で、この間自分の体で実験してわかりました。要は巨大なノートパソコンの上に乗って運転しているようなもので熱が発生したり、電磁波が出ていたりします。長時間パソコンを触っていて、手や指が痺れてくることはないですか?

所祭委員: そうですね、確かに疲れてきたり少し痺れることがあるように感じます。

辻内先生: それは、ただ長時間使ったから疲れているだけではないんですよ。電磁波の影響があるんです。そのパソコンはノートパソコンですか?

所祭委員: はい、そうです。

辻内先生: ノートパソコンの場合は電池の上に手を乗せている状態なんですよ。でも、有線の外付けキーボードを使用してみると一気に半減します。外付けのキーボードは中身は、プッシュした電気信号がパソコンに送られるだけでおおきな電池とかは入っていないんですね。 このような知識を便利なものを普及させたい人達は誰も言わないんですよ。

所祭委員: 確かにそう思います。一見新しいものの方が便利で使い勝手いいように感じますけど、車にしてもキーボードにしても前のものの方が良かったりする点も多くあるんですね。知りませんでした。

辻内先生: そうなんですよ。携帯電話もガラケー時代は電磁波がどのくらい人体への影響を及ぼすか発表されていたんです。スマホになった途端、それが調べても一切出てこなくて、電磁波の問題はなかったことのようにされています。最近は5Gといって、どこでも繋がる強力な通信が新しく導入されてきました。あれは一体どのくらい強力な電磁波なのか、人体への影響は研究しなければなりません。 ちなみにブルートゥースはかなり弱いということがわかっています。距離に制限があるから弱いんですね。でもWi-Fiもどんどん強力になっていて、隣の家のWi-Fi入ってきますでしょ?

所祭委員: きますきます。知らないWi-Fiがよく飛んでますね。

辻内先生: そうですよね。三軒隣のじゃないかっていうものも普通に入ってくるんですよ。つまり、そこの電磁波のエリア内というわけです。 こういったふうに社会の問題から、政治の問題、健康問題など全部繋がっている。まさに人間科学ですよね。そういう意味を込めて「地球人!」とつけています。

では、ゼミ生として「自由人」はどういう意味だと思いますか?

ゼミ生: みんなが自由に生き生きと生活出来る世の中を作っていこうという意味だと思います。

辻内先生: そうですね、それも含んでいます。あとは、自分の内面の自由人があります。我々は、常識や教え込まれた思い込みのようなものの世界の中で生きています。人の目が気になったりして決して自由になることは出来ないんですよね。 でも、皆がああするからこうしようではなく、自分はこうだと思ったら自由に発言すべきで、いろんなしがらみから自由になっていくことを目指しています。 この究極に自由になるという目標の達成は、私も死ぬまで無理だなと思ってはいるんですけど、それを目標に生きたいと思っています。誰しも着たくもない防護服を心にたくさん着させられているのだと思います。 それを脱いで、心が裸になれるくらいの未来を作っていきたいと感じます。このような意味が「自由人!」には込められています。

ゼミの活動や雰囲気

所祭委員: コロナ禍での活動はどのような形で行っていますか。

ゼミ生: 大学からの許可を得て、ゼミ生の代表者2人と諸先生方で9月の1日と2日に福島の富岡町に行かせてもらいました。少人数でのフィールドワークで、実際に被災地に足を運びました。 「医療人類学」という学問を研究する上でフィールドワークは根幹のようなもので、実際に現地に赴くことでしか感じられないことがあると思いました。 特に現地の人の言葉は、本や論文を読むだけではわからないようなことだと思います。今回のフィールドワークは、自分の今までの価値観や思い込みをいい意味で壊してくれました。 そして、新たな知識を取り入れることが出来る、それが医療人類学のゼミとしての魅力だと思っています。

フィールドワーク

フィールドワーク 福島県・東日本大震災復興記念碑

所祭委員: 現在、実際に足を運ばないとわからないこと感じられないことを知る機会が減っていると思いますが、どう感じられていますか。

辻内先生: 去年はフィールドワークに行けなかったんですよ。だから、今年は今行くしかない!と、かなり前から計画を立てていました。ここを逃したら行けないかもしれないっていう。 でも、第5波が落ち着いてきたので冬ごろにはゼミ生全員で行こうという計画は立てています。

ちなみに、ゼミ生が先ほど言った「壊された価値観や思い込み」というのはどういったものでしたか。

ゼミ生: 地元の人は原発事故で甚大な被害を被ったわけじゃないですか。さらに、原発は停止中で若い人たちが未だ街に戻ってきていないというのを聞いていました。だから今まで原発はこのまま廃炉にして無くしていこうというのが大半の人の気持ちなのかなと思っていました。 でも、若い人を呼び戻すには原発を再稼働しちゃってもいいのではないかという現地の人の言葉を聞いて、単純に原発に対する好き嫌いではなくて街全体のことを考えたら原発を再稼働させるという手段もあり得る手段なのだと知りました。

辻内先生: 原発事故の被災者なので、当然のことながら原発には反対しているだろうと思っていたわけですよね。ところがその人は幼い頃からその地域に住んでいたんですけど、原発が出来たことで仕事がたくさん増えて生活することが出来ていたんです。そういう恩恵を受けていたという自分の歴史がある。 そうすると、その人にとって原発は全てを否定出来るものではなくて、原発によって生活が成り立っていたのも事実だよねっていう感覚なんです。だから、完全否定出来ないし、むしろ恩恵には感謝しないといけないなっていう思いもあると。 未来を考えたときに、確かに放射線物質の問題とかはあるんだけど地元の街を復興させていくためには原子力発電所をもう一度動かすというのもありなんじゃないか、という考えを地元の方は持っていたんですね。 これは一般的な想像からすると「え!」って思うような発言ですよね。それがいいか悪いかは別です。アンビバレンツな葛藤を持ちつつ、産業があることで若い人や子どもが来て豊かになることを目指していかなくては町が潰れるなという危機感を伴った発言だったんです。

ゼミ生: だからこそ、そういった意見を持つ人もいるし原発はやめるべきだという人もどんどん出てくるので、分断が進んでいるんだなという印象を受けました。さらに新たな問題が出てきているんだなと感じます。

辻内先生: 私たちの研究チームには、区域外から、いわゆる「自主避難」してきている当事者の方達に入ってもらっているんですよ。その方達の中には、政府が安全だといっている数値は決して安全ではないし、世界的なレベルの研究から見ても明らかに嘘であるということを調査して、将来的にはやめていくべきだという強い信念を持っている方もいるんですね。 今、非常に複雑で、そういう分断がおきてしまっているんです。

こういう問題は生活保護バッシングとも少し似ていて、生活保護で貧しい方とワーキングプアで貧しい人と年金が少なくて貧しい人がいるんですね。ワーキングプアと年金の人は、生活保護を働かずにもらっている人が羨ましいわけです。そこで分断が起きるんです。 それから、例えば国家安全保障の問題をみてみると、中国とか北朝鮮がミサイルを開発しているんだから絶対危険だ、日本も軍事力高めないとやられちゃうよって思って予算を軍事費に割こうと賛成している人たち。 そうではなく、軍事力を高めれば抑えられるというのは幻想であって、絶対にアメリカと中国が手を出さないようにする、したたかな外交に予算を割くべきで軍事費にかけるべきではないと反対する人たち。社会ではこれらによって大きく分断されていませんか?しかもどちらも正しそうに聞こえるわけですよ。 原子力発電所の分断の話に戻ると、核の廃棄物を捨てる場所をまだ日本に確保出来ていないんですね。これはよく「トイレのないマンション」と言われるんですけど、日本はそういうものをずっと作り続けているんですよ。 これから、いくつもの古い原発の使用期限がきて廃炉作業に入る所が増えることになるので、日本では廃棄出来ない巨大な使用済みの機器をフランスやスウェーデンに買ってもらえるようにする法律を作ろうとしています。

所祭委員: 海外では処理出来る場所があるんですね。

辻内先生: そう、スウェーデン、フランスは処理する技術を持っています。受け入れもしています。特にフランスはそれで経済的利益を得ていたりもしますね。このようにして、日本は巨大なゴミ、核廃棄物を海外に売ってまで原子力発電を続けようとしているわけです。 同じような例で、日本の中古車がどこに行っているか知っていますか。

所祭委員: 海外で、特に貧しい国などでTOYOTAの文字が刻まれた車が走っている映像を見たことがあります。

辻内先生: 開発途上国や海外で見かける新しい車は輸出したもので富裕層が乗っているんですけど、一般の人たちが乗っているのは日本で20〜30年使われたガソリン車を向こうの人が巧みに修理して運転しているんですよ。つまり、日本で出来た巨大なゴミを全部海外に売っているんです。これは一見ウィンウィンな関係に見えるけどもそうじゃないんですよ。 プラスチックゴミも中国にたくさん売っていたという話は知っていますか。近年急にプラスチックの問題が出てきましたよね。捨てるプラスチックを減らしましょう、となったのには理由があります。それは環境問題が政治や市民に浸透したからじゃないんですよ。中国が買ってくれていたプラスチックゴミを中国が買いません、と言うようになったからなんです。

所祭委員: それで日本が慌てて政策を立て始めたんですね。

辻内先生: そうです、とにかく減らさなきゃってなって初めて、マイクロプラスチックが海に流れて人体に危険だという説が取り上げられるようになっていきました。実は社会の現象にはそういう裏があって、いろんな社会構造の歪みみたいなものがあるんですね。 それを原子力発電の被災者に触れて勉強することを通して、地球レベルでいろんな問題点を見抜く力をつちかいたいと思っています。ゼミではこういうことをみんなで議論しています。みんな何を言ってもいいゼミで活発に発言しあっていますね。

所祭委員: 1人だと自分の考えに囚われて気づけないことも多いのではないかと思いますし、その点なんでも発言しあえる環境は大事だと感じました。

辻内先生: 私のゼミでの発言では、絶対に相手が言ったことに対して批判しないというルールを徹底しています。一般的には自分と異なる考えを持った人がいるとそれは違うだろ、と批判的な対応をとってしまうことが多いんですよね。 そうするとそこで対立が生まれてしまって分断が生じてしまう。そうではなくて、異なる意見が出たら掘り下げる。どうしてそういう風に考えるのか詳しく教えてくれませんかという風に聞きます。 それから、ある人の発言に対して「こういう所が自分にはなかった考えで勉強になった」というように、必ずよかったところを見つけて伝えます。こういったゼミのルールは創設した時からずっと徹底しています。身近なところから分断を生まないようにするルールづくりをしています。

所祭委員: 原発の話にあった大規模な分断だけでなく、身近なところから分断を意識していらっしゃるんですね。

1、2年生に向けて

所祭委員: ゼミに入るために事前に学んだりやっておいたりしたほうがいいことってありますか。

ゼミ生: 小さなことでいいので自分の周りの疑問点だったり、自分が置かれている境遇に対する疑念が、もしかしたらこの研究室のテーマと合致しているかもしれないので意識してみることですかね。

所祭委員: ゼミ生さんは何をきっかけに入られたんですか。

ゼミ生: 私が2年生になるタイミングでコロナ禍になったんですけど、コロナも一種の災害ですよね。あと、東北出身だったので東日本大震災も身近で感じていて、コロナ禍に自分が置かれている状況と被災地の被災者の境遇と何か通ずるものがあるのではないかと感じていました。こういう意味でも、身近な疑問や不思議を普段から探求していれば良いのではないかと思います。 あと、自分はよくYahoo!ニュースを見るんですけど、たまたま見た記事で疑問が解消されることもありました。だから、こういったことがどこで繋がってくるのか分からないですよね。いろんな面からアプローチが出来るこのゼミは、意外なことでも解決出来るかもしれない環境にあると思います。

所祭委員: 今日実際にお話を聞いてみて事前にお伺いしていた震災のことに限らず、環境や政治、メンタル面など多くのことが重なって複合的に研究しているゼミなんだなという印象を抱きました。

辻内先生: その通りで、まさに「人間科学」を目指しているんですよね。 それには元々、私が研究してきた流れというものがあって。私は初めは医者になりたいと思って医学部に行って医者になったんです。中でも心の問題に興味を持って、心療内科医になりました。 身体の専門家である内科医から心の専門家である心療内科医になって、さらに漢方などの東洋医学にも興味を持ちました。東洋医学を勉強しに、中国やチベットに行ったりしました。 そのうち、社会とか文化とかがすごく健康に関係しているなと思って、文化人類学を勉強しに千葉大の博士課程に入り直したんですよ。そこで、文化人類学や社会学、医療人類学、哲学などで洗礼を受けました。 今までの言葉が全く通じないような世界に入って。その後、早稲田の人間科学部で教員募集を見つけてから、今に至ります。 よく友達の先生には「辻内先生はひとり人間科学だよね」なんて言われました。それを目指しているんですけど、ひとり人間科学はひとりでは出来ないので、学生と先生方とみんなで人間科学をやっています。

今は、2011年以降から震災の被害者の大きなプロジェクトも行っていて、災害復興医療人類学研究所という研究所にもなっています。 さらに、文科省の科研費Bっていう大型の研究費を2020年から取得出来たので、チームを作って、人間科学部では扇原先生、桂川先生、小島先生、根ヶ山先生、熊野先生などと一緒にプロジェクトを進めています。 他にも、私は震災支援ネットワーク埼玉(SSN)っていう埼玉の民間支援団体の副代表をしていまして。この主要メンバーにもプロジェクトに入ってもらって、一緒に研究と支援活動をしています。 あとは、社会に発言していかなくてはならないと考えている被災当事者の方にも研究チームに入ってもらって、大規模調査の計画を立てているところです。 これらはまさに人間科学で、被災当時者と支援者と研究者、さまざまな分野の専門家が集まって対等に問題解決へ向かって動いています。もちろん、ゼミのメンバーも参加しています。

所祭委員: プロジェクトにはかなり多くの人が関わっていらっしゃるんですね。

辻内先生: そうなんです。それでこのプロジェクトでは、11月28日(日)に大隈講堂でシンポジウムを行います。ゼミのメンバーが発表をします。復興の人間科学2021、『福島原発事故10年の経験から学ぶ:当時小学生だった若者達との対話から』というタイトルです。 震災当時小学生だった子どもが今大学生になっていますよね。今回のシンポジウムでは、その当事者の若者たちから私たちが何を学べるのか、というのをテーマにしています。 これはすごく画期的なことだと思うんですよ。よく沖縄の大戦や広島・長崎の原爆の経験者である高齢者に語り部になってもらうことはあると思うんです。だけど、高齢者ではなくて若い人たちから学ぼう、ということです。 しかも、当時小学生だった人たちが、その後の10年でどのようなことを考えて、どういう風に生きてきて、これからどういう風に生きていこうとしているのか。被災の経験がどういう風に育っていっているのか。 このようなことを、ゼミの学生達がひとりひとりインタビューをしてまとめています。当日は当事者の若者5人に来ていただいて実際にひとり20分ほどプレゼンしてもらい、うちのゼミの学生もそれを受けて何を学んだのかプレゼンします。このようなシンポジウムをやりますので、ぜひご参加ください。

所祭委員: シンポジウムは対面のみで行われますか。

辻内先生: ハイブリットで行うので、Zoom配信もします。大隈講堂に来られない1,2年生の方にはぜひzoomで参加いただけたらなと思います。ゼミの雰囲気もわかると思います。早稲田大学人間科学部のホームページのNEWS画面からはいって、Googleフォームから申し込みが出来ますので、どうぞよろしくお願いします。

※URL:"https://www.waseda.jp/fhum/archs/news/2021/10/21/1548"

シンポジウムチラシ

人総研・SSN・WIMAシンポジウム「福島原発事故10年の経験から学ぶ」2021年11月28日

所祭委員: 1,2年生へメッセージをお願いします。

ゼミ生: 私は人間科学部に入学して初めは漠然と心理学を学びたいなと思っていたんですけど、他にも社会学や歴史、スポーツなどにも興味がありました。人の内面について心理学をガッツリ学ぶのもひとつの道だと思うんですけど、人間科学的でいろんな分野に興味がある方にはこのゼミは向いていると思います。 他のゼミでは扱われないような分野も、多角的に活用しているゼミなので、もし、いろんな分野に興味がある人がいればお待ちしています。

震災支援者ゲストスピーカーとの集合写真

研究所URL: "https://www.waseda.jp/inst/cro/other/2020/03/29/4486/"

研究所ゼミブログURL: "http://blog.livedoor.jp/tsujiuchi_labo/"