Aqua

My Café

誰でも本格的なお茶を楽しむことができる店

My Caféのオーナーである川口史樹さんにお話を伺いました。川口さんは日本で三人しかいない紅茶の審査員を務めており、コーヒーマイスターの資格もお持ちです。

1. My Caféのルーツ

川口さんはMy Caféを開く前はブラジルでユーカリの品種改良の研究をしていたそうです。会社からお茶の研究を指示されたことがお茶に興味を持ったきっかけだそうです。その後、会社を辞め、お茶の魅力をたくさんの人に知ってもらいたいという思いからカフェを開きました。

お茶は商品名や産地名で売ることが一般的ですが、My Caféはお茶を品種ごとに売っています。これには品種ごとの個性を楽しむ様々な方法を伝えたいという品種のお茶を作る仕事をなさっていた川口さんならではの願いが込められています。読者の皆さんがMy Caféに訪れてお茶を飲む機会がありましたら、その時はぜひ、品種ごとの香りや成分に目を向けて、シチュエーションに合わせた飲み方を楽しんでみてください。

2. My Caféの客層

My Caféには大きく分けて二つの客層があります。一方はあまりお茶にこだわりを持っていないご近所の40〜70代の女性、もう一方は遠方から来たお茶好きの方々です。入り口近くには近隣の方のための粉茶などの一般の方向けの商品をおき、各地の珍しい茶葉など専門的な商品を店舗の奥の方に配置することで、興味のある人ほど奥に行くような店舗の構造となっています。これにより、お客さんのお茶に対する関心やニーズを素早く把握することができ、適切なサービスの提供ができるような工夫がされています。ワークショップやセミナーなどの企画を行う際にも、地域の方向けのイベント(お得な詰め放題など)とお茶好きの方向けのイベント(植物園に行き、お茶の審査で使う言葉の勉強をするなど)を開催するなど客層を意識しているそうです。

3.メニューやお客さんの嗜好

緑茶、紅茶、珈琲の三種類の飲み物が楽しめます。緑茶と紅茶は品種の選択ができます。川口さんのおすすめメニューは好きな品種を3種類選んで飲む「飲み比べ」。ちなみに紅茶は一般的なお店ではインド産のものが多いのですが、こちらでは全て日本産の和紅茶を飲むことができます。 ご年配のお客さんは渋みや味が濃い、香り付けがあまりされていないお茶を好む傾向があります。対照的に若いお客さんにはサッパリとしていて香りが強いお茶が人気だそうです。これには味を感じる細胞がどれだけ働いているかの違いだけでなく、これまでの食の経験が強く影響しています。若者は香り付けに慣れているので、香りの着いたお茶を好み、お年寄りは昔からお茶に親しんでいる場合が多いので渋いお茶に抵抗がありません。

食べ物のメニューにも何かしらのお茶が使われており、食事やデザートでもお茶を楽しむことができます。

写真①

写真②

My Caféさんの場合、新型コロナウイルスの影響で贈答や葬儀用、都内のレストランやホテルに卸すためのお茶の売り上げが下がってしまいましたが、家庭で飲むためのお茶の需要は伸びました。これらのことから、川口さんはコロナの対応について「活路を見出してやっていく」と語っています。

4. 奥が深すぎるお茶の世界

川口さんが教えてくださったお茶についてのお話を皆さんに紹介したいです。写真③は、サンルージュという品種で川口さんに淹れていただいた紅茶です。サンルージュは2020年国産お茶フェスにて「紅茶王」に選ばれたお茶で、眼精疲労に良いです(ちなみに品種名がカタカナで登録された日本茶はサンルージュが初だそうです)。 そして写真④は私がMy Café で購入した茶葉で淹れたサンルージュの緑茶です。サンルージュという品種の特徴から緑茶であっても赤い色をしているそうですが、紅茶よりも発酵時間が短いので、こちらは緑茶です。写真では川口さんほど上手く淹れることができなかったためかあまり赤くはありませんが、実際にはもっと紅茶に近い色合いになるそうです。同じサンルージュで色も近いですが、味や香りは全然違います。

写真③

写真④

ですが、お茶の奥深さは紅茶と緑茶が同じ品種でも味が違うというだけではありません。お茶は、たとえ同じ緑茶であっても何か一つの要素でも変われば味が変わります。品種はもちろん産地、栽培方法、加工方法のかけ合わせが一つ違えば全く違うお茶ができます。肥料や技術などでも同様です。

また、お茶を入れる道具の違いもお茶の味に影響します。お茶の審査をする際には陶器ではなく、磁器というものを使うのですが、これは陶器を使ってしまうと味が本来のお茶よりさらにまろやかになってしまうからだそうです。お茶自体の100%の力で勝負するために磁器を使います。 陶器か磁器かだけの違いだけではなく、陶器同士の形でも違います。写真⑤は一般的な形をした急須です。お値段は4千円ほどで、口の部分には金網があるのがわかります。 写真⑥は2万円の急須で、平底な形が特徴です。この急須は蓋がずれず、少ないお湯で茶が均等に広がります。そして軽いです。しかしながら、必ずしも「4千円<2万円」の構図があるというわけではありません。なぜなら2万円のものは高価ですので、慎重に扱う必要があります。また、使用する茶葉の形状によっては適さない場合もあります。その人のお茶への関心の度合いで川口さんの薦める商品は変わります。 

写真⑤

写真⑥

5. コロナ感染症対策について

My Caféさんは緊急事態宣言で受けた制限を逆にお店を変えるきっかけにしていました。宣言前の飲食スペースは30席でしたが、席が多いと廃棄も同時に多くなってしまうので、現在は常設の席はイートイン程度で、予約または少人数のお客さんをメインターゲットにしています。今は通販が主軸になっていて、海外からオーダーが来ることもあるそうです。また、家庭菜園の需要に合わせてお店の前の植物を増やしたことも変化の一つです。なんと日本でこのMy Caféにしかない木もあります。

写真⑦

6. 最後に

My Caféさんにはこれらのお話の他にも、「お茶が示す社会と時代背景」や「お茶の審査の手順と基準」などのお話を伺いました。ためになるお話をたくさん聞かせてくださいましたが、印象に残ったお話は植物園に行く企画をやっている理由についてです。「薔薇のような香り」という例えはよく審査で耳にしますが、実際の香りはあまりピンときません。そのため、審査でその言葉が使えるように実物の香りを知らなければいけません。普段通りに過ごしていれば触れることはなかったお話だと思います。お茶について詳しくない人でも引き込まれてしまうほど、魅力的なお茶の話をしてくださると思うので、ぜひMy Caféにお越しください!

お茶の審査の手順

お茶の審査の基準

店舗HPのリンクはこちら

https://my-cafe-1.jimdosite.com/